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旭川で医大生がはじめたゲストハウスにワクワク!

2014年5月、旭川市の銀座商店街からワンブロックほど離れたところに、

こんなレトロな外観のこじんまりとしたゲストハウスがオープンしました。

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その名も、宿・レトロハウス銀座旭川(以下レトロハウス)。

なんとここのオーナー、旭川医科大学の学生なんです。

名前は川上伸太郎さん。

なぜ医大生である彼が、旭川の商店街の一角でゲストハウスの経営を始めたのか取材してきましたよ。

レトロハウスの間取り

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Q.ゲストハウスにはだれが泊まるのか?

レトロハウスには、オープンして半年もたっていないのに週末は毎週のように誰かが泊まっています。

客層には特徴があります。7割が海外からきているのです。

なぜ外国人が日本の宿泊地として、旭川の駅前にあるわけでもないゲストハウスを見つけられるのか。

それは今利用者数が加速しているホスト(宿泊場所の提供者)とゲスト(旅行者)のマッチングサービス、

Airbnb(エアビーアンドビー)に登録しているからなのです。

Airbnbとは (東洋経済ONLINE http://toyokeizai.net/articles/-/27075 より)

 世界中に空き部屋などを持つ宿泊場所の提供者(ホスト)と宿泊場所を探している旅行者(ゲスト)をつなぐ、インターネット上のプラットフォーム。目的地の都市名を入力すると、ゲストを迎え入れたいホストの物件写真と顔写真がずらりと並び、旅への期待をかき立てられる。物件は一軒家やアパートの空き部屋が多いが、城、ツリーハウス、ボート、島など突拍子もないものを見つける楽しみもある。

このサービスは日本ではまだあまり知られておらず、旅行者の利用者は外国人が圧倒的に多いようです。

ちなみに北海道では65物件、旭川ではレトロハウスのみの登録です。

今はAirbnbを利用して旭川に泊まりたいと思ったらレトロハウスしかないわけですから、

Airbnbの利用者の受け皿として旭川はブルーオーシャン

週末はコンスタントに宿泊客が訪れています。

ちなみに川上さんはこのゲストハウスを自宅にしていますが、大学の授業もあるわけで、

主に学生の7名のボランティアスタッフを含め対応が難しいときは宿泊をお断りすることもあるそうです。

じゃらんnet等のホテル検索サービスには登録していないそうです。

というか日本での認知度が低いAirbnbの登録だけである程度コンスタントにお客さんが来るので、

今はスタッフの都合もあって、これ以上は対応できないということです。

Q.ぶっちゃけ経営は成り立つの?

そもそもレトロハウスはオーナーである川上さんの自宅でもあるので、ある程度の固定費はゲストハウスをやっていなくても発生するもの、

というとらえ方もできます(レトロハウスはあくまでベッドとトイレ・シャワー・洗面所のみ。ごはんは出しません)。

けれどあくまでゲストハウスの経営と考えると、家賃含めた諸経費に対して売り上げはとんとんくらい。

運営も、オーナーを含め有償で働くスタッフはいませんし、利益が出ているわけでもないので、

正直経営とは言いがたいかもしれません。そこがレトロハウスの大きな課題ですね。

川上さんには社会勉強の場として学生でまわしていきたいという思いもあるので、

スタッフはうまいことボランティアでまわしていけるとしても、

経費をきちんと売り上げでまかなうこと、修繕などの突然の大きな出費に対応できるだけの利益を出しおくことは、

最低限必要だと思います。

Q.宿として以外の活用方法は?

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医大生の皆さんでDIYもしながら改装した、落ち着ける雰囲気のゲストハウス。

写真では見えませんが大きな本棚には川上さんが所有する本がライブラリーとして公開されています。

プロジェクターやスクリーンもあり、すでに短編映画の上映会や、小さなミュージックライブを開催したことがあるそうです。

カフェのようなおしゃれな空間なので、芸術家の個展や写真展に使ったり、ビブリオバトルをしたり、

著名人を呼んで講演会をしてみたい。

使ってくれる人がいるなら大歓迎だと川上さんは語ってくれました。

Q.なぜゲストハウスなのか?

そもそもなぜ医大生がゲストハウス? と思われた方もいると思います。

その動機をいくつか語ってくれました。それは私にとって非常に共感でき、ワクワクするものでした。

①ニューヨークのゲストハウスで刺激を受けた

川上さんは山小屋やホテルなどでバイトしてためたお金でニューヨークに行き、宿泊したゲストハウスで

美大生や写真家、ヨガのインストラクター、DJ、家具の職人など様々な職種の人と共同生活を送り、

毎日その日の出来事を語り合って交流したそうです。

自分の世界が広がった当時の経験ができる空間づくりをしたいと考えたのだそうです。

医大生をやっているだけでは世界が狭い

①に通ずるものですが、医大という単科大学で勉強するだけでは、

学べることも出会える人もある程度一定の分野に限られてしまうので、世界が広がらない。

ずっと同じ世界に閉じこもっているのは嫌だったそうです。

③建築やデザインをやりたかった

川上さんのご両親の職業が画商ということもあり、建築やデザイン、「創ること」に興味があったのだろうです。

また、川上さんは最初に進学した東京の大学を退学し、次の進学先を選ぶときに建築系の大学と迷ったのだそうです。

そして医大に入学したあとは独学でデザインの勉強をしてこられました。

奇跡的に賃貸ながら自由に改装させてくれる大家さんに出会えたことで、

たくさんの苦労を重ねたものの今までで一番の創作活動ができたのではないでしょうか。

個人的に期待すること

私は旭川の医大生がゲストハウスを始めるらしい、とFacebookで知った時にものすごくワクワクしました。

(しかも私の自宅から100m圏内!)

若者の起業の本や経験談は興味があって調べていましたが、

まさか自分の身近に、旭川のちょっとさびれた商店街のそばで宿を始める学生がいるとは!

私の友人の医大生たちは、医学の勉強だけでなく、

部活動や中高生に向けた性教育の促進など様々な課外活動を熱心に行っていましたが、

実際に物件を借りてお店や宿を始める、というのはリアルには初めて見ることができました。

レトロハウスを始めた動機にも非情に共感しますし、

外国人と日本人、社会人と学生の交流スペースというのは個人的にとても興味のある分野です。

私も2013年の秋ころ北海道十勝の大樹町のゲストハウスに宿泊し、

たまたま自転車で北海道を一周している同い年の学生に出会い、

そこを経営しているチャリダーのご夫婦からもとても刺激を受け、民宿経営にも興味を持ちました。

本を持ち寄って公開の共有ライブラリーもやりたいです。

私がワクワクする要素をたくさん持っているゲストハウスなのです。

川上さんは「創る」ことに重きを置いていて、一応ひとつのゲストハウスは「完成」されたわけです。

そしてまた大学卒業後の勤務先でもゲストハウスを作りたいといいます。

私はぜひゲストハウスやイベントスペースとして経営が成り立ち、

多人種、他分野、異年齢のの人たちの学びや交流の拠点として、レトロハウスの運営が長く続いていくことを期待しています。

特、学生だって若者だってなんだってチャレンジしていいんだ、ということを伝えられる場所になればいいなと強く思います。

私もご近所の人間として、共感者として、ぜひお手伝いしていきたいと思っています。