すてきなオトナと出逢ってほしい☆~私が8年間、学生合同文化祭に関わり続けている理由

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ものごとが長く続かない私が唯一、24年間の人生の3分の1をしめる8年という期間、関わり続けてきたもの。

それが「学生合同文化祭」です。

第8回学生合同文化祭ポスター

学生合同文化祭って?

学生合同文化祭とは、高校・大学の文化芸術活動にスポットをあて、「ステージ発表」「作品展示」「物販」の3形態で発表する、文字通りさまざまな高校・大学合同の、北海道旭川市で行われている文化祭です。このイベントは、学生や卒業生、学校教諭、民間の企業に勤めている方などで構成させれた実行委員会で企画・運営しています。

私は第1回学生合同文化祭のときに高校3年生で、文芸部として「模擬俳句甲子園」を披露し、卒業後、実行委員になりました。そして今年の5月9・10日の開催で第8回目となります。24歳の私にとっては8年なんてたいへんな時間です。去年あたりから、振り返ってはその時間の大きさにひっそり驚くようになりました。

さて、学生合同文化祭には、大きく分けてふたつの大義があります。

1.学生の文化活動を発表するステージをつくり、市民に届ける

2.学生の若いパワーを地域の活性化に結びつける

「なるほどもっともだ」というかんじの立派な活動目的です。もちろんこの目的を果たすために、実行委員会として努力しています。2番目の達成度ははかりづらいものですが、1番に関しては年を追うごとに新たな学校、サークルが加わるようになり、多くの学生を巻き込めているという実感はあります。

ですが、私は個人的に、学生合同文化祭にもうひとつの大きな意義を見出していて、それが「学生が社会に参加する場、大人に出会う場」というものです。

私が大学2年生の終わりに福島第一原発事故が発生し、初めて自分や弟たちの未来の危うさを強烈に実感して、反原発運動に関わりました。それがきっかけで私は「旭川のまち」の中に入っていくようになり、たくさんの市民、たくさんの大人と出会いました。たくさんのことを学ばせてもらえる、尊敬する人が本当にたくさん増えました(もちろん想像力のない言葉に傷つけられることもありましたし、学生であることや若さを利用しようとする人もいましたが)。

私はそれまで、教育大で授業を受けながらも教師という立場で教育にかかわるということには興味が持てず、かといってほかに何かやりたいことが見つかったわけでもなく、ただ漫然と日々をやり過ごしていただけでした。

だから旭川という社会に飛び込めたことは、今の私をつくった本当に大きなできごとでした。あの人みたいに働きたい、あの人みたいに旭川の役に立ちたい、そんなふうに思える人にたくさん出会い、私は多くの刺激を受け、揺れながらも、自分が何に興味をもっているのか、ぼんやりとでも見えてきたのです。それまで何も見えなかったのですから、うっすらと見えてだけでも、私には生きる力がわいてくる大きな前進でした。

出会いはすばらしい、なんて自明なことだと思われるかもしれませんが、学生に関して言えば、「学校」という箱の外とかかわりを持ち多様な人と出会う、という機会には、実はなかなか恵まれないものだと思います。たとえば、進級、進学、就職など、在籍中に自分の未来を選択するタイミングに知っておくべきいろいろな「選択の可能性」は、学校の教育の中で学べないことばかりです。その筆頭と思うのが、「一言で言い表せる職業」が職業のすべてではないということ。小中学生向けに職業を説明した本で、「教師」とか「消防士」とか「アナウンサー」とかありますけど、それは小・中学校だけではなく高校・大学でまでも、その誰もがパッとイメージできる名前のついた職業から選べという圧力をかけられています。それは学校側はそんなつもりはなくとも、一言では表せない職業(執筆も編集もラジオパーソナリティーも商品企画もやっています、という人とか)や、「職業と職業のあいだ」にある職業、みたいなものの存在や可能性を、伝える言葉(の根拠となる知識や体験)を持っていないのだから同じことです。

少し話は飛びましたが、学生のうちに学校の外の社会に参加し、その街で働き生活している人たちとリアルに接すること。学校の外にはどんな世界が続いているのか、垣間見ること。それが、彼ら彼女らがより自由に豊かに自分の未来を発想していけることにつながると思うのです。

「高校→大学→A会社→B会社」とおさまる箱をただ移り変えていくのではなく、その繋ぎ目に無限に広がっている世界と実感を持ってかかわることが、その人の生きる力の源にもなります。

実際に働いている大人と出会いナマの声を聞ける、そんな機会を学生合同文化祭が生んでいければ、と思います。学生の文化活動を多くの人に見てもらいたいと思ってくれる大人や企業がいること、そんな場を報酬をもらうわけでもなく時間をかけて用意する大人たちがいること。それを知ってもらい、あるいは実行委員会に入って大人と一緒になって一つのイベントをつくる経験をすることで、彼らが先に描ける世界が少しでも広がったらうれしい。私がそうであったように。

大学を退学したばかりで長くひとつの仕事も続けたこともない、学生と、バリバリの社会人のちょうど中間みたいな私が、両者をつなぎたいと思うのは当然のことなのかもしれません。

よい出会いに恵まれるということは、その気持ちに応えたいと思う人が増えるということ。

何度かメンバーの移り変わりを経験している学生合同文化祭実行委員会の、どの人たちも私は大好きで、心の底からリスペクトしています。だからこそ一緒に活動してくれているメンバーの気持ちにも応えたい。それは8年という時間をかけてゆっくり育まれたもののようでもあり、だからこそ8年続けてこられた、とも言えます。

学生合同文化祭が、学生がチャレンジし、ステキな大人との出会いと経験を生む場であり続けられますように♪