26歳の加速

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高校生の頃、先生たちが言っていた「5年も10年もあっという間だ」という感覚は、自分にはまだ何十年も訪れなくて、時はゆったりと流れ、つらいことはあっても、毎日が豊かな起伏に彩られて進んでゆくと思っていた。

 

まだ26じゃないの、という突っ込みは無視する。これは誰かとの比較ではなく、私の中の強烈な実感だから。未来との比較はできっこないし。

 

弟に希望を語る口で、ふるえる息を吐く。

 

母が料理をする音

階下から立ち上るコーヒーの香り

両親のなごやかな笑い声

弟たちの悲しみを知らない笑顔

人と人とは分かり合えないもの、と分かり合った2月のこと

 

時が加速していく。大事な、大事な、あたたかな想い出はどんどん遠くへ、、

 

自分の心が、どんどん老いていくのを感じる。

諦めが、絶望が、毎日毎日窓の前に降り積もって、光が射しこまなくなっていく。

私は潤っているように見えるだろうか。

乾燥した部屋でカラカラになって、水はどんどん染み込みにくくなっていく。

それが生きるってことなの?

 

私は何を恨んでいるのだろうか。

 

ああ、春の新しい芽吹きの輝きが、溶かしてくれますように。

 

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