”会話”

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蒸し暑い日々が落ち着いて、北海道らしいカラッとした暑さになってきた。

午前中に田んぼに入って、疲れ果ててリビングのソファに寝っ転がる。

網戸の向こうで、木々の葉がさやさやと音を立てると同時に、涼しい風が入ってくる。


――あの木はなんていう木?


頭の中で問いかける。


――こちらは毎日真夏日だよ。あなたの住む森は涼しいの?

――もうすぐお盆だね。あのうろこ雲の日からもうすぐ1年だね。


私には手紙を送るべき住所も電話をかけるべき番号も分からないけれど、いつもあなたに問いかけて、あなたの返事を想像する。


――1年はあっという間でしたね。お互い環境の変化があって、心境の変化があって、色々なことが、すっかり、変わってしまいましたね。


そうだね。時間が流れるのはあっという間だね。どんどん過去になっていくのは悲しいけれど、時間が流れるから歩き出すことができるとも言えるよね。

もしも時間があの2月のまま止まっていたなら、心が耐えられるわけない。


これはただの私の想像。妄想ともいう。あなたと交わせたであろう幾千もの豊かな会話を想像する。私の知るかぎりのあなたで、精いっぱい描いてみる。


誰かを失うということは、その人との会話をも失うということなんだよね。
まるで修学旅行の夜のように、朝まで話したって話は尽きることがないと思っていたよ。

 

夢の途中で目を覚まし

まぶた閉じても戻れない

さっきまであなたがいた未来

尋ねて 明日へ

 

by 宇多田ヒカル真夏の通り雨

 

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