旅から帰れば、秋 (知床・十勝旅レポ)

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※久々にながーい記事です

念願の知床に行ってきた。総走行距離、約1,000キロ。そして帰って来て、疲れ果てて眠って、目が覚めた月曜日、上川には秋がきていた。

 

私は本当に雨女で、前から決まっていた予定の日は天気が悪い事が多いのに、今回は、地元は天気が悪く、旅先の道東は真夏のような陽気だった。空の青と、豊かな森の緑と、海の青を心の底から楽しみにしていた私には、これ以上ないお天気で、神様ありがとうって、道中ずっと思っていた(旅先で会った友達は2人とも、得意げに「自分は晴れ女(男)だ」と言っていた笑)。

 

帰ってきたら地元の最低気温は10度ちょっと。空は高く、家の裏の畑へ続く道からは、枯れ葉の匂いがする。気の早い栗のイガが落ちていたりする。あーあ、夏が終わっちゃった。でも、いい終わり方だった。

 

【1日目 旭川斜里町

牛乳配達が終わって、燃料を満タンにして、お昼に旭川を出発した。今年の始めに車をワンボックスの軽に変えたので、途中の高速などでスピードを出すと風にあおられて、背の高い軽自動車の不安定さを感じた。皆さんどうぞ抜いてってくださいとトロトロ走った。

遠回りになるので網走はとばす代わりに、女満別大空町)の道の駅に寄った。初めて行った時に面白かった記憶があったからだったが、2回目に訪れると、記憶よりずっと狭く感じた。北海道ではお祭りや道の駅でよく「いももち」が売られているが、大空町は長いもをたくさん作っているようで、そこで「長いももち」を食べた。

そこからはやっと海へ向かう道。美瑛のようなパッチワーク模様の畑の丘を駆け抜けて、小清水町へ。その時点で、けっこう細かく決めていたタイムスケジュールから逸脱し始めていたので迷ったけど、小清水町の道の駅「はなやか小清水」も寄った。海沿いに線路と国道が走っていて、道の駅も海のすぐ横。天気のいい夕方だったけど海風が冷たかった。

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いちばん自由に動けるから車の旅が多いけど、電車の旅もいいよね。青森に行った時の電車の旅、新鮮だったな。

 

日が暮れていく中、海から少し離れた国道244号線を走り続けて、やっと斜里町へ。ここまで来ると、地元からだいぶ離れ、知らない街に来た…という感覚になった。楽しい非日常感。ありがたいことに19時まで営業している道の駅「しゃり」には、観光客やライダーがいた。

230キロ走っても、まだここは今日のゴールじゃない。あと40キロ、暗闇に沈んでいく海岸線を走り続けて、ウトロに向かった。途中、青紫色の空と月があまりにきれいで、車を停めて写真を撮った。

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夜7時にウトロの宿に着く。温泉に入って、夜9時に網走市から駆け付けてくれた友だちと合流し、地元の居酒屋で軽く飲んで、次の日のクルーズに備えて寝た。

(宿と居酒屋は1キロ以上離れていて、観光客はみなホテルで食事をとるためか夜はタクシーは営業しておらず、森に囲まれた道を歩くしかなかった。一人だと怖かったけれど、友達ときゃあきゃあ言いながらほろ酔いで宿に戻ったのは思いがけず楽しい体験だったね)

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【2日目 知床~野付半島~帯広】

2日目の午前中がこの旅のハイライト。知床は半島そのものが山脈のようなもので、道路がとても少なくて、一般人が入れる部分は限られている。代わりに、世界遺産となった知床半島を海から眺めるクルーズが充実している。私は、我が家の周りでもどうやら生活しているらしいヒグマを生で見たいと、「ドルフィン」というクルーズの「野生生物探索クルーズ」を予約していた。しかしなんと!お天気は良くとも波が高くて、小型船は出航時刻の直前に欠航…海のご機嫌はどうにもならないし諦めるか…と思ったところ、スタッフさんが400人乗りの大型船「オーロラ」を紹介してくれた。ドルフィンのように半島にグイッと近寄ることはできないけれど、ここまで来たんだから乗らないと!と急きょオーロラに乗船。航行時間もドルフィンより短いので、3割ほど安く乗ることができた。

以下、船から見た知床半島と、ネコのように小さく見えた、浜辺をお散歩するヒグマちゃん。

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揺れて風の強い船上から写真を撮るのは難しかったけれど、写真や動画でしか見たことのなかったあの知床半島を、自分のカメラで撮ることができて本当によかった。見たいと思っていた景色そのもので、本当に素晴らしかった。やっぱり、お天気に恵まれたことが一番幸せ。

 

船を下りて10時半。ウトロの道の駅をぷらっとした後、あの有名な知床五胡へ向かった。大小5つの湖を見ることのできる散策コースを歩くのだ。ヒグマの近寄れない高架木道のみを歩くコースと、ヒグマの出没可能性のある森の中の地上遊歩道を歩くコースの2つがあって、私が選んだ後者は、立入認定申請をしてスタッフのレクチャーを受けてから入らなければならない。ヒグマに会ってしまったらを考えるより、会わないようにすることが互いに大切であること、万が一会ってしまったらどうするかなどを、動画を用いて丁寧に教えていただく。8月中は散策路で3日に1回ほどヒグマが出没していて、決して珍しくないことがわかる。スタッフの方の言葉通り、ヒグマの住まいにお邪魔させていただく気持ちで、私も他の観光客に交じって散策をした。

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(白いハスの花が咲く湖と、知床連山。右端が最高峰の羅臼岳。あの稜線に沿って、登山道があるそうな。)

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(マリンブルーの海も見渡せた。立派な高架木道は、電気が通る線もめぐらされていて、レクチャーなしで入れる完全に安全な道。やはりレクチャーを受けて、ヒグマを警戒する緊張感をもって3キロほどの道を歩いた後の、この景色というのが、すばらしいんじゃないかな。ということで地上遊歩道をお薦めします)

 

散策を終えた後はパークサービスセンターに戻って鹿肉バーガーとこけももソフトクリームで空腹を満たし、羅臼へ向けて、知床峠へ!

 

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(写真にはないけれど、国後島も見えました)

 

間近に羅臼岳を見て、今度は峠を羅臼側へ下ります。帯広への長ーい道のりのはじまりはじまり~(下の地図の通り、北海道の右端っこちょっと走っただけで300キロ。でっかいどー)

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↑の地図のAの部分、野付半島というのだけど、おもしろい形をしています。

↓のように、釣り針のように細ーい半島になっているのです。ちゃんと1本だけ、道道が走っています。時間がなかったので、端まで行けませんでしたが、真ん中あたりまで行きました。

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この半島は潮風の影響で立ち枯れてしまったトドマツとナラの木の一風変わった姿(トドワラ・ナラワラという)を見ることができます。実際に見れてよかった。落葉した白樺ともまた違う(後ろの木も芝もが緑だからね)、不思議な景色でした。

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野付半島から戻ったら、帯広まで約250キロ。お尻が痛くて痛くて大変だったけど、初めて自分で走る道、初めての景色。退屈はしなかったな。

夜8時、やっと、夜ご飯と決めていた帯広の豚丼屋さん「いっぴん」に到着。お客さん並んでいたけど、一人なのですぐ通されて、おいしい豚丼頂いた。疲れもあっという間に吹っ飛んじゃった!

 

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この日は車中泊をするつもりで準備してきたのだった。これも決めていた「オベリベリ温泉」という、銭湯価格なのに何でもそろっている立派な温泉(モール温泉!)につかり、すっかりあったまって、見当をつけておいた宿泊予定地の公園2つを見に行く。河川敷の公園はあまりに人目がなさ過ぎて怖かったので、住宅街の大きな公園にした(旭川で言う神楽岡公園みたいなところだった)。

初めてのひとり車中泊。持ってきていた布などで窓を目隠しし、アルミのマット2枚敷いて、毛布にくるまればとても快適だった。その夜は暑くもなく寒くもなく、私は「なーんだ車中泊楽しいじゃん」とうかれて眠った笑

明け方、ゴンッというとても大きな音がして、私は目が覚めて青くなった。何が起きたかしばらく分からなかった。不審者に車を蹴られたのかなとか考えた。でも窓の外を見ても異変無し。冷静になってくると、車に何かが落ちてきた音だと分かった。窓をふさいでいたので、もう少し寝ていたかった私はドアを開けるのも面倒で、ちょっと不安なままもう少し寝て、朝7時頃、ようやく車から出て屋根を見たら、そこにはくるみの実の房(10個くらいの実が束になっていて、1キロ位あると思う)。なーんだと私は胸をなでおろした。クルミの枝の下に車を停めていたのでした(;^_^A  そのクルミの木にはエゾリスちゃんが遊びに来ていた。

(朝明るくなってから、ここで宿泊はいけませんという看板を見つけたのはヒミツ笑)

 

【3日目 十勝~旭川

3日目は晴れた公園で目が覚め、ベンチで歯磨きなどしてから、朝ごはんを食べに、早くからやっているというパン屋さん「麦音」へ。朝8時だというのに子供連れのお客さんがたくさん。カレーパン、メロンパン、塩パン、あんパン、チーズパン、自宅にお土産用の食パンなどを買って、いくつかを外のベンチで頂いた。こういうお店があってよかった。

その後はばんえい競馬場に併設された直売所「とかちむら」(そば茶購入!)や駅併設の物産センター(音更のうどんとそうめん購入!)でお土産物色して、昼の友達との約束まで時間があったので、中札内村の道の駅へ。卵や枝豆が名産の村で、道の駅の規模も大きく、駐車場が満車になるほどにぎわっていた。

時間になったので待ち合わせの「十勝ヒルズ」へ。

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たくさんのお花畑と、レストランで使う野菜の畑がありました。ここでは、十勝の食材が味わえるランチビュッフェを頂きました。

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(お豆のマリネ、ポテトサラダ、美味でした)

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(メインのマンガリッツァポークのミンチをスイスチャードでまいたお料理。ハンガリーの豚さんです)

フランス料理に近いのかなあ。ソースに使われている食材を予想するのが楽しかった。

 

友だちと別れて、帰路につく。狩勝峠を超えて、南富良野町に近づいたころ、眠気に襲われて、駐車場でちょっとだけ休憩。富良野市の物産館「フラノマルシェ」にちょびっと寄って、それからまっすぐ当麻の家まで帰ってきた。

旭川から知床、知床から帯広がものすごーく遠かったので、帯広から旭川はらくしょー!と感じた。

 

知床は本当にずっと行きたかったので、お天気のいい日に来られて、本当によかった。初めての景色、初めての道、初めての車中泊。北海道はひとつの自治体にもかかわらずなかなかすべてを見ることは難しいほどに広い、大切な大地だな。

 

帰ってきたら、知床ロスというのか、旅ロスというのか。道中車で聴いていたプレイリストをかけると、その時見ていた景色を思い出してしまって、毎日何回も旅のことを振り返ってしまう。正直、2泊3日に知床と十勝を詰め込んだのは欲張りすぎで、初めての知床を満喫しきれなかったと、帰って来てから思う。時間がないからとばした場所がたくさんあった。斜里町羅臼町を、もっとゆっくり見たかったな。そーんなぷち後悔も覚えつつ、日常に戻ったわけなのだ。

また海が見たくなって、今年も西側の、オロロンライン(留萌・羽幌など)を走りたいなと思ったり。あの道は北に向かって、左に海、右に緑の大地と、ちょっと知床のウトロ側走ってる感覚になるんじゃないかな。未練がましいな。。笑

 

雪が降るまでの時間は、もうとても短くなった。10月末には降る可能性がある。それまでに、この北海道の美しい景色を、出来るだけたくさん焼き付けたいと思ってしまう。秋の旭岳や、層雲峡も本当に素晴らしいのだ。いつ死んでも構わないけど、生きてる間は、できるだけ北海道のすばらしさに浸っていたい。そんなことを思う、知床旅でした…