気候と生活コスト~沖縄と北海道の移動に思うこと

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 身軽であることや、生活コストを下げることを考えている最近の私にとって、まだ春とは言えない北海道という北国と、初夏の陽気に満ちた沖縄という南国を行き来したこの一週間はとても貴重な体験になった。たとえ初めてではない体験だとしても(北海道⇔沖縄の移動はこれで6回目だ)、その時の心境によっては、全く新しい体験になりうるのだ。

 

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気候と生活コストのこと

もっとも考えたのは、北国で暮らすことの、コスト面のデメリットだ。

長いことその地域に暮らしている人、特に、異なる気候の地域に出かけることのない人は、これは意外と気づきにくい。

雪国の冬はとにかくお金がかかる。それは家庭・個人レベルでも、行政レベルでもだ。

暖房、衣服、スペース、労力…個人レベルのコスト

個人レベルだと、よく言われるのは暖房の燃料代だ。ストーブが必要なほどの気温(10℃~マイナス15℃)は、半年以上(10月末~5月)続く。

 

さらに、当たり前すぎて意外と忘れているのが、スタッドレスタイヤ代。1度買えば2年はもつとしても、1度の出費はかなり大きい。前述した燃料代と同様、1年の半分冬タイヤを履いているので、距離を走る人なら夏タイヤと同じスピードで消耗していく。細かい事だが、冬は暖房や四駆のおかげで燃費も悪い。また、駐車している間にフロントガラスに氷がつくので、夏よりもアイドリング時間が長い。

こういったコストが、雪のほとんど降らない地域では全くかからないということに気づいた時私は愕然とした。

 

もうひとつ、これはかなり盲点ではないだろうか。それは冬物の衣服代だ。

これはセーターやコートだけでなく、マフラー、手袋、帽子、ブーツに至るまで、寒さや雪に備えるためのグッズは多岐に及ぶ(衣服ではないが、人によっては小さなひざ掛けや湯たんぽ、電気毛布なんかも使うだろう)。

沖縄の人が冬(最低でも10℃くらい)に、サトウキビ畑に囲まれた道をもこもこのコートを着て歩くことがあるように、ファッションとして買いそろえるなら「コスト」ではないけれど、雪国ではなくてはならないものだ。これらは、家のクローゼットの大幅を占めることになり「スペース(家賃)」というコストもかかることになる。

寒い土地や日照時間が短い土地の住民は気分が落ち込みやすいという話は聞いたことがあるが、雪国では出かける際に着なければならないもの、持たなければならないものが多くて出かけることが億劫になると感じる。とにかく荷物が多い。

北海道から沖縄に出かける際は、中間地点で来ているものを何枚も脱いでカバンにしまっていかなければならない。それでも沖縄で着る服は薄いものでよいが、もし逆方向に移動するなら、荷物は倍以上に膨らむだろう。

 

危機意識のある人なら、雪道で動けなくなった場合に備えて車には常にスコップや牽引ロープ、ヘルパー、予備の防寒着や毛布などを積んでいる。これも、荷物とスペースという名のコストだ。

 

私が一番何を言いたいかお分かりいただけただろうか。

雪国では、とにかく身軽でいるのが難しいのである。

 

今までの北海道から沖縄の移動では、何を着て、何を持って行くか考えるのが難しいな程度にしか考えていなかったけれど、今回は、自分が現在住んでいる北海道では、簡単には身軽になれないことをわりと深刻に考え直すことになった。

雪国では、燃料や冬タイヤや衣料品にかかる「金銭的」コスト、収納・積載する「スペース」というコスト、移動する際の荷物になる「労力」というコストが、どうしたってかかってしまうのである。

 

 除排雪と、アスファルトの修復…行政レベルのコスト

ここまでは個人・家庭レベルのコストについて書いてきたが、この2018年の冬の終わりが近づくにつれて、北国であるがゆえに背負わなければならない行政レベルのコストについても頻繁に考えるようになった。

その筆頭はもちろん、除排雪だ。

今年の私の住む地域では、特別積雪が多かったわけではないものの、除雪回数と、排雪量の減少が目立ったために、渋滞やスタックなどのトラブルは例年以上に増えたように思う。実際に事情を聴いたわけではないけれど、行政が除排雪に適切な予算をかけなかったというより、単純に担い手(請負業者と従事者数)が足りなかったのではないか…と感じる。

少しそれてしまったけれど、とにかく一定の積雪がある地域の除排雪のコストは膨大なものだろう。そして道路の雪解けが進むにつれて、今度はアスファルトの損傷が目立ってくる。温度差が大きいために、アスファルトに穴が開いたり、凹凸が生まれて波打ってしまったりするのだ。今まさにその修復が少しずつ進められているが、年々アスファルトの損傷はひどくなり、それに比例して修復も追いつかなくなっているように感じる。このコストも、温かい地域にはないものだろう(もちろん、違う気候や特色のある地域には、その地域特有のコストが発生しているだろうけれど。潮風や台風や火山の被害など)。

もちろん、各家庭での「雪かき」も時間と労力という膨大なコストなのは間違いない。一定量の雪が降れば、日中少なくとも1時間前後は雪かきに時間を取られることになるのだから。

 

温暖な地域に心惹かれる

北国の人間にとって、沖縄を代表とする南国はもう温かいというだけで憧れの対象なのだが、生活コストを下げて、持ち物も減らしたい人間にとって、温暖な地域はなおさら楽園に思える。

もちろん、私は今まで沖縄県石垣島に、長くて2カ月半滞在しただけなので(しかも10月~12月)、夏の暑さや湿気のしんどさ、台風の恐ろしさ、その他もろもろ想像しきれていない、地域特有の大変さはあるんだろう。隣の芝は青く見えるものだもの。

それにしても、ろくに行ったこともなかったくせに、北海道から石垣島へ、ポーンと移住してしまった母親たちはほんとすごい。知らなくてもできるんだから、ある程度知っている私にできないはずがない。

ということで、きっと沖縄県に住む日もやってくるでしょう…永住ではないだろうけれど。