価値ある生き物になる方法
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今日は秋晴れの空の下の畑で、風が心地よくて「気持ちいいー」とつぶやいた。
枯れた草の乾いた匂い。どこか、なつかしい。
秋の畑は、死の気配に満ちている。
いたるところで生命が力尽き、大地に身を転がす。ただひと夏、生命を謳歌した者たちの、最期の仕事だ。
風に、森に、空に、鳥たちに、草の上で力尽きて干からびた虫の死骸や、カラカラに乾いて倒れた大豆の枝や、熟れてつぶれた真っ赤なトマトに、言われている気がした。
おまえが苦しもうが、嘆こうが、死にたいと思おうが、幸福になろうがなるまいが、知ったこっちゃない。
ただ生物として生きて死ねばよい。
生きているときはただ生き、死ぬときはただ死ねばよい。
そして最後に次の命の糧になればよい。
それが生物のなすべきただひとつのことだよ