ひとりである と知る ~映画『東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~』を見て

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 いまさらながら映画『東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~』を見た。

 あの映画を見るときっと、親が死ぬときのことを、否が応でも考える。

 自分の価値観や、軸みたいなものを築いた人間が、この世からいなくなる。たとえ兄弟がいても、どこか、ひとりぼっちになったような気分になるんじゃないかって、想像しきれない頭で想像してみたりする。ちょうど、『キッチン』(吉本ばなな著)のみかげちゃんのような気持ち。ひとりぼっちになったようで、悲しく、寂しいけれど、心が静かで、手放しで「自由なんだよ」と言われたような気持ち。何も持たず、宇宙に放り出されたような気持ち。

 

 よくよく考えてみれば、親が存命であろうがなかろうが、人はひとりなんだった、と思い出す。すっかり忘れていた。何かが忘れさせてくれていたのか。

 

 

 何かが、誰かがいなくては生きられない、なんてことはなくって、誰かに寄りかかって生きているつもりでも、誰かに寄りかかられて生きていても、どう目をつむろうとしたって人はひとりなんだ。苦しみも、喜びも、100%わかってくれる人などいない。

 

 元気でも、病んでいても、ひとり。

 お腹がへっても、食欲がなくても、ひとり。

 一人でいても、誰かといても、ひとり。

 憎んでも、愛しても、ひとり。

 

 でも、だから、「自由なんだよ」

 

 どこへでも行ける

 生きてもいい。死んでもいい。

 あなたはたった一人の人、いつでもただのひとりの人。

 

 ただのひとつの孤独な魂が、選んだ道をとぼとぼ歩いているだけさ